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“鉄道空白地帯”に、
新たな大動脈を築く。

半世紀を超える、
壮大なプロジェクトを遂行。

新大阪駅と八尾市の久宝寺駅を結ぶ路線として、2019年3月に全線開通したおおさか東線。開通前、大阪東部は“鉄道空白地帯”とも呼ばれており、大阪都心部(梅田)へのアクセスなどがとても不便な環境でした。その状況を一変させたのが、このおおさか東線です。
しかし、新線を築くというのは、一朝一夕にできることではありません。前身となる城東貨物線の旅客化構想が練られたのが1950年代。そして、1981年に運輸大臣の認可を受けて、1999年6月に工事着工し、全線開通となったのが2019年。この約70年をかけた巨大プロジェクトを無事に完成させることが私たちの任務でした。

最寄りの路線やバスがなかった着工前の南吹田駅付近
大阪東部は貨物線のみが走っていた

さまざまな困難を乗り越える
団結力。

まずこの沿線で進められたのは放出駅―久宝寺駅間の工事です。この区間は急曲線、急こう配が多く、工事は一筋縄ではいきませんでした。また、大型土のうを活用した急速盛土による大規模切替工事といった、大きな挑戦が必要となる区間もあります。そこで対策として私達が行ったのは、ミーティングの強化です。段取り8分と言われる鉄道業界。そのため、普段から業者間でのコミュニケーションを大切にしています。このプロジェクトでは、さらにその意識を高め、業務内容の確認、材料、人員、機械の確保を徹底。そして、現場が一丸となって路線づくりができるよう、元請け、協力会社という垣根を越えて、お互いが納得して路線づくりができるまで、何度も話し合いをしながら工事を進めました。
開業を迎えたのは、着工から約9年後。想定外のトラブルに見舞われながらも、プロジェクトチーム一丸となって乗り越え、2008年3月、放出駅―久宝寺駅間(9.2km)を無事に先行開業させることができました。

急速盛土試験施工
急速盛土施工中
切換工事施工後

地域住民悲願の
新たなインフラの誕生。

続いて2年後の2010年3月から、全線開通に向けて新大阪-放出間の工事がスタートしました。開通を待ちわびる人たちのために、7月、8月という酷暑期も昼夜を問わず行われる軌道の新設工事。現場では、スポーツ飲料やお茶、氷を支給するなど、環境づくりにも細心の注意が払われました。そうして、一歩一歩着実に進められた工事が終わりを迎えたのは、2019年の3月。大阪府民の想いを乗せたおおさか東線が、ついに全線開通したのです。
大阪の南東部エリアからも新大阪駅へ直結できるようになり、地域住民の交通利便性は大幅に向上。さらに、おおさか東線は、他の鉄道会社と連携するという点においても大きな役割を果たしました。14駅のうち9駅が、大阪市中心部から放射状に延びる13の路線と交わっているのです。
こうして、私たちがこの一大プロジェクトを無事にやり遂げると同時に、おおさか東線は関西圏の新たな交通インフラとして走り始めることとなりました。

夜間も行われる軌道新設工事
阪急京都線・千里線と接続するJR淡路駅
学研都市線・地下鉄今里筋線と接続する鴫野駅
地域住民の期待に応え、盛大に取り行われた開業式典